バラと万年筆
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刺青の彫師である私は道具に拘る。
絵を描く際、画家が絵筆を取り替えるように私も依頼される文字や絵によって針を変える。
私の場合、一番拘るのは花の絵を描く時である。歳を取る事で肉体に変化があっても、刺青の花は萎れる事なく、枯れる事もないようにと万年筆を使用している。
その花が万年美しくありますように、という願いを込めてのものだ。
この技法を教えてくれたのは私の師匠である。師匠の入れ墨は本当に素晴らしい。
私の足に咲く、一輪の赤いバラ。これも師匠の作品だ。
肉厚な花弁は触れるとそこから香り立つような色気を感じる。
瑞々しい茎からはこの世の春を謳歌する芯の強さが垣間見える。
谷崎潤一郎作・刺青。清吉の気持ちが私にも分かる。
私のこの体はこのバラを咲かせ続ける為の肥料なのだ。
故に私は美しくあり続けなければならない。
それを怠ればどうなるかって?バラの棘が全身へと伸びては私を苛むに違いない。
絵を描く際、画家が絵筆を取り替えるように私も依頼される文字や絵によって針を変える。
私の場合、一番拘るのは花の絵を描く時である。歳を取る事で肉体に変化があっても、刺青の花は萎れる事なく、枯れる事もないようにと万年筆を使用している。
その花が万年美しくありますように、という願いを込めてのものだ。
この技法を教えてくれたのは私の師匠である。師匠の入れ墨は本当に素晴らしい。
私の足に咲く、一輪の赤いバラ。これも師匠の作品だ。
肉厚な花弁は触れるとそこから香り立つような色気を感じる。
瑞々しい茎からはこの世の春を謳歌する芯の強さが垣間見える。
谷崎潤一郎作・刺青。清吉の気持ちが私にも分かる。
私のこの体はこのバラを咲かせ続ける為の肥料なのだ。
故に私は美しくあり続けなければならない。
それを怠ればどうなるかって?バラの棘が全身へと伸びては私を苛むに違いない。
公開:22/06/02 20:28
元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。
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