彼女のドア
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なぜ、彼女の顔には大きなドアがついてるんだろう。
扉はいつも閉まっている。彼女が頬に触れ戸締りを確認してたのを見たので、僕だけの妄想じゃない。たまたま隣の席同士、放課後二人きりの時、ドアが開く音がする。素早く視線を向けると、ばたんと閉められる。正直、彼女は苦手だ。でも気になるし、本人に聞いてみた。
聞き終わらないうちに彼女は大声で僕を制し立ち上がった。怒っている。触れてはいけない話題だったのだ。殴られる、と思ったけど、彼女の手は自分のドアに向かい、指でこじ開けチェーンを引きちぎった。
何かが勢いよく転がり出てきて机に落ちた。小さい僕だった。僕は反射的に手のひらで僕を叩き潰した。
僕は死んだ。
何もそこまですることなかったみたいで、それ以来、彼女の僕への対応は少しだけ棘がなくなったように思える。ドアには空室の紙がいまだに貼ってあって、時々くすぐったそうに彼女は紙の縁を掻いている。
扉はいつも閉まっている。彼女が頬に触れ戸締りを確認してたのを見たので、僕だけの妄想じゃない。たまたま隣の席同士、放課後二人きりの時、ドアが開く音がする。素早く視線を向けると、ばたんと閉められる。正直、彼女は苦手だ。でも気になるし、本人に聞いてみた。
聞き終わらないうちに彼女は大声で僕を制し立ち上がった。怒っている。触れてはいけない話題だったのだ。殴られる、と思ったけど、彼女の手は自分のドアに向かい、指でこじ開けチェーンを引きちぎった。
何かが勢いよく転がり出てきて机に落ちた。小さい僕だった。僕は反射的に手のひらで僕を叩き潰した。
僕は死んだ。
何もそこまですることなかったみたいで、それ以来、彼女の僕への対応は少しだけ棘がなくなったように思える。ドアには空室の紙がいまだに貼ってあって、時々くすぐったそうに彼女は紙の縁を掻いている。
その他
公開:22/05/30 20:00
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