子猫
4
2
頬を伝う水は、もう涙なのか雨なのか分からない。飼い猫が車に轢かれて死んでしまった。横たわって血を流した猫の死体。私はそれを見つめていた。
雨の中、傘を持つ手が震える。命とは時に残酷に奪われてしまう。その現実を受け止めるまでに時間がかかった。
「にゃーにゃー」
足元には子猫がいた。その子猫は、どこか飼い猫に似ている。
「まさかね……?」
「そのまさかですにゃ。母がお世話になりました」
「しゃ、喋った!!」
「生前の母は、いつも私にあなた様との楽しい思い出を語ってくださいました。雪奈様、お会いできて嬉しいですにゃ」
「これは夢?」
「夢だと思ってくれてもいいですにゃ。私が喋れるのは、今だけ。ほんの一瞬の間だけの奇跡なのです。では私はこれで」
「あなたはどこへ?」
「野良猫ですから。自由気ままに」
「だったらうち来る?」
そんな不思議な出会いをした子猫。今はもう喋らない。
雨の中、傘を持つ手が震える。命とは時に残酷に奪われてしまう。その現実を受け止めるまでに時間がかかった。
「にゃーにゃー」
足元には子猫がいた。その子猫は、どこか飼い猫に似ている。
「まさかね……?」
「そのまさかですにゃ。母がお世話になりました」
「しゃ、喋った!!」
「生前の母は、いつも私にあなた様との楽しい思い出を語ってくださいました。雪奈様、お会いできて嬉しいですにゃ」
「これは夢?」
「夢だと思ってくれてもいいですにゃ。私が喋れるのは、今だけ。ほんの一瞬の間だけの奇跡なのです。では私はこれで」
「あなたはどこへ?」
「野良猫ですから。自由気ままに」
「だったらうち来る?」
そんな不思議な出会いをした子猫。今はもう喋らない。
公開:22/05/31 09:12
カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu
・SSG投稿作品1500作品突破
・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c
・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。
https://youtu.be/frouU2nCPYI
・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過
〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)
ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/
ログインするとコメントを投稿できます