Vol.1【鏡の中のワコ】エピソード7

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 その時からか、父親は酒に溺れて僕と弟に対しても心を閉ざすようになり、弟は母親を失った悲しみで周りの人間への態度が冷たくなった。
 太陽が失われた世界で一人残された僕は、第二の故郷を求める宇宙人のように、明るい居場所を模索し続ける日々を送るのであった。一人の親友に救われても尚、それは続くこととなった。

 「おーい、そこの自転車を漕いでいる人」
 長身で白装束の人物が、僕を呼び止める。それもかなり怪しい服装をしていたので周辺では登校中の女子生徒達が気味悪がり、通報するかしないかの話題でもちきりだった。
 倦怠感を我慢し、やっとのことで学校の正門前に辿り着いたところだというのに。
 「は?誰だよ」と、周りから誤解をされたくなかった僕はその人物を威圧する。
 「そう怪しがるなよ。健太郎」
 長身で白装束の人物は僕に向かってそう言うと、馴れ馴れしく近づいてくる。
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公開:22/06/01 20:00

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