寺泊

連休を利用し、家族で寺を訪れた。子供達に連休中はここで過ごすと伝える。嫌な顔をされた。
だが住職のウェルカムカステラに子供達の態度も一変。
「ここはカス寺。真面目に修行に取り組めば、君達も美味しいカステラを作れますよ」
住職の言葉に目を輝かし、修行へと打ち込んだ。勿論、私だって負けてられない。
まずレシピの写本。飽きっぽい子供達がアレンジレシピに胸をときめかせる。人形焼きもカステラの一種なんだと知り、その奥深さの虜となった。
普段手伝いをしない子供達が自分の力でカステラを作ろうと必死に手を動かす。書いたばかりの写本を片手に調理を進める。
しかしどれだけレシピ通りに作っても最初は上手く作れないのが料理。
私達は悔しさを噛みしめ、家族一丸となりカステラと向き合った。
寺泊最終日、住職も認める美味しいカステラが出来た時は家族皆で大喜びした。
カステラとは家主寺。家の平和を守る、甘い駆け込み寺だ。