イカリング

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幼稚園の頃の事なんて覚えてないよ。君はそう言うけど、私は覚えているよ。

君のお弁当に入っていたイカリングを結婚指輪に見立てて、私の指に入れてくれた。そして結婚しようって言ってくれたんだ。

あれから私の初恋は、ずっと君だった。

「イカリングって……。そんな事したのか、俺」
「うん。したよ」
「いくら幼稚園児でも、もうちょっとロマンティックな指輪を作れないものかな」

そう言いながら彼は、恥ずかしそうに頭を抱えた。

「私は嬉しかったよ。イカリング」
「やめろ。それ以上言うな」

彼をからかうのが楽しくて、そのことをずっといじり続けた。
偶然同じ大学で再会した彼とは、よく一緒にいる仲になった。食堂で昼食を食べる。私は日替わりランチを注文した。

するとなんとイカリングが入っていた。タイミングが良いと思った私は、ニヤニヤしながら彼の指にイカリングをはめた。

「結婚しよう」
「やめれ」
公開:22/05/26 08:31

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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