天職と地職

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記憶力がよく、演じる事が好きな私は昔から役者に憧れていた。
ドラマや映画、アニメに舞台。演じる、という事柄に私は貪欲なまでに学び、主役になれなくとも様々な役柄を演じた。
役者は私の天職だ。売れているわけではないので人気ないが、仕事には事欠かず食べるに困る程ではない。私のような役者はどんな現場にも必ず必要となる。私はこの仕事に誇りを持っている。
しかしそんな仕事にも徐々に陰りが見えてきた。
仕事が減り、貯金を切り崩しを始める。これではダメだ。
私は趣味の料理の腕を生かし、調理師見習となった。
料理に完成はない。常により高みを目指す為、研鑽が必要となる。それは演じる事と同じだ。
米研ぎ、皮むき、簡単に見えて意外とコツがいる。火の扱いはいつだって正解を求めている。刃物とは真剣に向き合っている。
この仕事は天職とは程遠い。地道な努力が実を結ぶ職業。
だが地に足を着けた仕事の方が私には合っていた。
公開:22/05/25 20:51

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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