サーカス団

痩せた土地の貧しい村では、子供は一番の働き手であった。
近くの街にサーカスが来たが、子供達は見に行くお金も暇も無く手伝いで明け暮れしていた。
でもサーカス団の宿舎が貧しい村の一角に作られていたので、その練習を身近に見た子供達は、自分達が走り回って働いている時と同じなのに気がついた。
サーカス団が街を去る時、子供達の多くが一緒に連れて行って貰う事になった。

サーカス団は全国各地を周り、子供達もそこで働き稼いだお金を少しずつ村に送り助けていた。そのお金で村の痩せた土地も、いつの間にか肥沃な土地に変貌し収穫も増え続け村は大層栄えてきた。

その子供達も成功を納め、やがて老人となり今再び懐かしの村に凱旋して来た。
村中大喜びで村民は勿論、牛馬、犬猫、狸狐等も総出で、大歓迎式展が執り行われた。
その村の出身者は辛抱強く運動神経にも優れ、サーカスに欠くことの出来ない人材の宝庫として世に知れ渡った。