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配達先に来ると平屋の古いビルで「非常口」と看板がある。運送屋が正面から入るわけにはいかない。横に回ると通用口にも非常口のサインがある。案内ロボットが「荷物の搬入は裏口からどうぞ」と言う。裏に回るとそこにも非常口のサイン。不思議な気がしたが、ともかく荷物を運び入れるとロボットが「部屋の前にそれぞれ荷物を置いてください」と言う。エレベーターはなく階段を降りる。ドアのない部屋が並ぶ。部屋は薄暗く奥深そうだ。それぞれに数字をつけた非常口サインがある。荷物の数字を見ながら部屋の前に、地下三階、地下二階、地下一階と置いてゆく。荷物を配置してビルから出ようとしたとき、ネズミがあちこちからビルに向かってきて、正面、通用口、裏口と構わずにビルに入ってゆく。次には猫の群れ、犬の群れがやってくる。野良猫、野良犬か。まるで街中の小動物がビルに入ったかのようだ。
その翌日だった。大地震がこの都市を襲ったのは。
その翌日だった。大地震がこの都市を襲ったのは。
その他
公開:22/05/25 09:58
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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