保存メール

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メールフォルダの保存メールの中に、どうしても消せない思い出のメールを入れている。死んだ母からのメールだ。

「晩ご飯はカレーです。残ったら明日もカレーです」

何気ないメールだが、私にとっては何よりも宝物だ。母がこの世に存在した証なのだから。私は愛されている。唯一、私の事を愛してくれた人だ。保存メールを読み返すと、自然と涙がこぼれてきた。

「お母さんっ……ううっ……ううっ……ぐすっ……」

死んでしまった人は生き返らない。もう二度と会う事はできない。その温もりも二度と味わう事はできないのだ。

ブルブルブル。新着メールが一件届きました。通知が来た。私はメールを開けた。するとそこには……

「何泣いてるの。しっかりしなさい。あんたはこれから前を向いて生きていかなくちゃいけないの。頑張りなさい」

余命三ヶ月だった母からの最後のメール。それは予約送信で死んだ母から送られてきたメールだった。
公開:22/05/23 09:25

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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