不幸せの黄色いスポンジ

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職場を早退し、姉夫婦宅を訪れた。しかし姉は出がけの様子だ。
「買い忘れがあってね」 
留守番がてら、室内犬アンと戯れるが、すぐに飽きた。

見渡すと流し台が洗い物の山となっている。よしっ。黄色いスポンジを選んで洗い物に取りかかる。我ながら、何て気が利く弟なのだろう。姉の喜ぶ顔が目に浮ぶ。アンが物欲しげに吠え立てるが、それどころじゃない。しっしっ。

普段この自発性は、なぜ報われないのだろう? 周囲の僻み? 俺がここへ来たのは他ならない。転職の相談のためだ。今、こんなことしているのは好印象を与えたいからだ。失業中に援助して貰えるかも。だから何としても戻ってくる前に終わらせねばー!

フー終わった。アレ? 未洗いの小皿を発見。同時に玄関の開く音が。素早く泡立て、すすいで、無理矢理セーフにこじつける。
「そのスポンジ使ったの?」姉が訝しげに俺を指差す。
「え? うん」
「それ、アンの食器用」……
その他
公開:22/05/22 21:46

痩せがえる

遅筆のため、週に一作できればと思っています。どうか、よろしくお願います。

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