GOD

「GODこそがこの世の全て。私たちはGODのためならどんなことでもする」
　A国の首相が言った。
　確かに、建国以来A国はGODの恩恵にあずかるためならば手段を選ばなかった。
　あるときは「ともに悪辣な独裁者を打倒するため、反体制勢力を支援する」という名目で他国に攻め入り、暴君どころか民を思いやる善良な君主の命と治世、そして膨大な量の黄金を奪っていった。
　あるときは「あの国は大量破壊兵器を隠し持っている」と主張し、豊かな大地を焦土に変え、地中深くに眠る黒い油を簒奪した。しかし、件の大量破壊兵器とやらはついぞ見つからなかった。
　あるときは「北の大国からこの国を保護する」といって20年に渡り軍を駐在させた。20年後、駐留軍を追い払い政権を奪還した反政府軍は、荒れ果てた国土に根を張る芥子畑を一つ残らず焼き尽くした。