トリプルJ

アメリカ大学野球の激戦区、南東のとある大学野球部に、トリプルJと総称される三人の選手がいた。
彼らは皆、三年生の外野手で、初夏に行われるメジャーリーグのドラフトでも上位指名されるだろうと評判であった。

ジョナサンは、持ち前のパワーでホームランを量産していた。
ジャックは、俊足を活かした守備でチームの窮地を救い、リードオフマンとして活躍していた。
ジェシーは、自慢の鉄砲肩と巧みなバットコントロールでチームを牽引していた。

ドラフトを二ヵ月後に控えたある夜の事だった。
地区優勝を祝したパーティーを抜け出した三人が乗っていたタクシーが事故に遭った。
それからというもの、ジョナサンの打球は失速し、ジャックの守備範囲は狭まり、ジェシーのバットは空を切ることが多くなった。
急激な不調に彼らの評価は下がり続け、なんとかドラフトで指名されたはいいものの、三人が大舞台に姿を見せることはついぞ無かった。