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祖父が裏の畑を耕さなくなってもう数年が経つ。
土地なんて持っているだけで金がかかる。遊ばせておくくらいならもう売ったら?
「何を言っとる。裏の畑は儂らの楽しみだ」
あんな雑草だらけの土地に何の楽しみがあるのだろう?
「あの土地はな、働き過ぎた都会の土地が遊びに来るんだ。田舎でのんびりしたいとリゾート感覚で遊びに来る都会もんが訪れるんだ」
都会の土地が田舎の土地に?そんなバカな…
「嘘だと思うなら裏で深呼吸してくるといい。都会の空気が漂っている筈だ」
ため息を吐き、畑へと回る。
深呼吸をして驚いた。都会のゴミゴミした空気が肺を満たし、思わずむせてしまった。
「ほらな」
祖父は笑うと最近近所にできたショッピングモールを指さす。
「実はあれもな、都会に帰るのが嫌でここに住み着いたもんなんだ」
そんなバカな…いやでも先日、都会某所のショッピングモールが一夜にして移転したってニュースを見たばかりだ。
ミステリー・推理
公開:22/05/18 20:35

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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