奥ゆかしい妻

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俺の妻は奥ゆかしい。いつだって俺の三歩後ろをついて歩く。
だが、俺としては時には隣を歩んで欲しい。偶にはその手を掴んでやりたい。
それを伝えると妻は驚いた顔をした。
嬉しそうに俺の右手を握ってくれた。
「あなた、惚れ直しましたよ。もしあのまま貴方が横柄な態度をとり続けるのなら、油断したところを背後から刺すつもりでした」
その告白にゾッとする。そんなにも俺を恨んでいるのか?
「滅相もありません。今も貴方が好きすぎて、殺したいほど愛しています。だから今も私の右手が包丁を離してくれないのです」
殺したいほど愛してるって…あれだけ俺の腹を刺したのにまだ足りないのか?
ああ…こいつも道連れにしてやろうと思ったがやめておこう。あの世でも殺されかねない。
そもそも妻は俺が死んでいる事に気付いていない。
奥ゆかしい妻は俺の足元を見るような事は絶対しないからな。
その代わり文字通り俺目がけ単刀直入してくる。
ホラー
公開:22/05/20 20:31

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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