交換恋留学

国会で、《交換恋留学制度》が成立されたって、数ヶ月前のニュースでやっていた。少子高齢化の対策の一つで、結婚の前に、たくさん恋をして、経験を！とかなんとか…“なんだそれ。まぁ、僕には関係ないか。”って思っていたんだ。校長が、うちの学校でも始めますって言うまでは。

結局、行く人は、くじ引きで決めることになり、僕も一人に選ばれてしまった。
初めて、憧れの美菜ちゃんの隣の席になれたのに！

留学初日。二ヶ月学校で過ごし、恋に落ち、結ばれれば、留学先の学校を卒業できるらしい。
教室へ入ると、僕の学校とさほど変わりはなく、恋なんて始まる気がしなかった。
「初めまして。仲原です。これから二ヶ月、よろしくお願いします。」
席を案内され、座ると、隣の子と目が合った。
眼鏡の奥の瞳が、キラキラ輝いて、目が離せなくなった。
「よろしくお願いします。」
小さな声だったけど、僕の耳に届いた声は、僕の胸を掴んだ。