寿命のリサイクル(問)

ある日の事。
天国で、神様が｢人間の寿命｣の話をしていた。

｢最近、下界では人間の自殺者が増えて困っておる。せっかくワシが与えた命だというのに、それをわざわざ短くするなど勿体ない。
そこでじゃ。下界で人間の自殺者が出たら、その寿命をリサイクルして、残った全ての人間に均等に分け与えてあげようと思うのじゃ。
人生の価値は人それぞれ。もう生きていたいと思わない人間から、まだ生きたいと思う人間にわずかずつでも寿命を分け与える事ができるなら、これ程素晴らしい事は無いのではないか？
早速明日にでも、下界の人間たちに知らせてやろうと思うのじゃが……｣

すると、それを聞いていた下僕が、血相を変えてこう言った。

｢神様、誠にお痛わしや……神様は、いつからそんなに耄碌なされたのですか？
下界を地獄にしようとするなど、とても正気の御言葉とは思えませぬ。今日はもう、お休みになられた方がよろしいかと｣