ホラージュ

ドアマンが婦人を招き入れる。
「白鳥様。いらっしゃいませ」
「ホラージュを見せて頂こうかしら」
「ちょうど入荷した所でございます」店員は数点ジュエリートレーに取り出した。
「これ、すごく美しいわ。ウソットは？」
「お目が高い。こちら中々お目にかかれない３ウソットでございます」
「まあ。コレだけの上物は初めて見ましたわ。いったい誰から取れたのかしら」
「個人名は明かせませんが、この人物のＳＮＳに以前から目をつけていまして。脳を解剖した結果この大きさの物が取れました」
「これだけ状態が良いと自然死じゃ無理ですわね」「そこは企業秘密です」店員は微笑んだ。
「ほんと素晴らしい。頂くわ」「ありがとうございます」
「この美しさが全て"嘘"なんでしょう？」
「自分を良く見せる為の見栄や映えへの嘘が真珠の様に体内で結晶となった物。それが法螺珠です」

「法螺珠ね。呼びにくいからホラージュになっちゃうわ」