ゾンビと画家

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 写真の発明以来、肖像画家の仕事は減る一方で、今ではゾンビの生前の姿を描いて日銭を稼ぐので精一杯だ。屋敷の牢に、膿の染みついたドレスを着た彼女がいた。妹です、とあなたは言った。
 あなたは美しい人だった。妹の世話をすると言い、何度も絵を描く様子を覗きにきた。生肉を見せびらかせて彼女を誘い、ほら、見て、唇の下。ほくろがある。姉妹だから似てるってよく言われたけど、私のほくろは、この、胸のところ……。
 あなたは妹を憎んでいた。僕を誘惑して、肖像画の面影に、自分の美しさを印象として滑り込ませることで、妹に復讐しようとしたんだ。あなたは絵の完成と同時に、真相を葬り去るつもりだった。そして妹は、ただ食欲を満たしたいだけだった。
 鍵が開かれていたのに僕は気づかなかった。最後の筆を入れようとした腕に、彼女は躊躇なく噛み付いた。無様な自分を誤魔化すため、僕は彼女を抱きしめ、黒ずんだ額に、そっと接吻した。
その他
公開:22/05/15 20:00

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