死神とのショートメール

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 小さな頃事故で死にかけて以来、夢の中でずっと死神と文通している。毎日メールを打ってると、途中でメッセージが届く。夢の中なので忘れてしまうけど、仲のいい知り合いもいないしバイト先でも浮いてるし、あれが唯一の友達かもしれない。死が二人を一つにするまでずっとこの関係がいい。
 でも私にとってあなたは大切な人だけど、あなたにとっての私は何なのか。私という存在が私にとって固有のものであるように、私の死は私固有の死なのか、それとも、あなたにとっての私はどこにでもある死の一つに過ぎないのか。
 と、手紙に書いた気がする。
 そうしたら昼間死神がバイト先に来た。変な質問で面白くて、来ちゃった。と。
 私はあなたをもっと知りたかっただけで、別に今、死にたくはないのだ。呼び出された私は半狂乱で接客し、震える声で、ご用件は。と伺った。あなたは、本当に嬉しそうに笑って応えた。
 別に。ただ、呼んでみただけ。
公開:22/05/17 20:00

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