バラと万年筆

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私は「一時間以内に一億円を用意しろ」と犯人に告げられた。
「無理だ。そんなに急に言われても準備できない。お願いだ。もう少し負けてくれ」
「分かっているのか。あなたがお金を払わなければあなたの悪事が皆にバラされることになるぞ」
「そんな事を言われても銀行はもうクローズしている。お金はすぐに用意できない」
「いくらなら払えるのかね?」
「10円ならなんとか」
「いいだろう。その代わりにここに一筆書いて貰えるかな」
「分かった。何と書けばいいのだ?」
「薔薇と漢字で書いてくれ」
「無理だ。私には書けない」
「何故、書けないのだ。今までいろんな場面で何度も見ているだろう」
「そんな事を言われても書けないものは書けないのだ」
「それではどうしたらが書けるようになる?」
「辞書を貸して貰えれば」
「いいだろう」
「すまない。やっぱり無理だ」
「何故だ」
「老眼で小さい文字が読めないのだ」
公開:22/05/16 19:57
更新:22/05/16 20:10

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