縁起物ショップ

縁起物を作ってくれるというお店が人気らしい。　私は赤い鳥居をくぐってお店に入った。
「コロナ退散！商売繁盛！」
銘された大きな縁起物は、シーサーに跨った福助が破魔矢を構えている勇ましい姿、でも顔がビリケンさんだ。
「うわっ、これ気持ち悪いよ、大丈夫？」　若い男の人、どうやら勝負事で勝ちたいらしい。
「まあ、アンタの予算だと見栄えはこんなもんだよ、御利益はバッチリさ」
タヌキ顔の白蛇が鰹節咥えて、尻尾で毘沙門天の旗を持っていた。　確かに、酷い。
「あのぅ、恋愛成就、でお願いできますか？」
「あいよ、定番だね、好きな縁起物とかあるかい？」
私はご主人の説明を受けてから、出来上がりを待った。
「あいよっ、ご注文、これでいいかね」
それは、朝顔の鉢植えに紅白の水引きが掛けられて、吉祥天と弁財天の旗が刺さっていた。
「アンタの美貌と才能で、良縁と固く結ばれるよ」
なんだか、御利益ありそうに思えた。