本と陶器は出会うもの

4
4

通り慣れた参道の一度も入った事の無い脇道。
そこに店はあると手のひらの利器は教えてくれる。
葉脈の様に世界が少し広がる感覚で歩を進める。
住宅街に突如、空色のペンキで装った店が現れた。
古民家をリノベした店内は懐かしく、それでいて新しい見事な雰囲気だ。
初対面なのにお久しぶりの勢いもった店主が迎えてくれた。
店主が見初めた全国各地の作家さんの陶芸の器が並ぶ。
愛らしい動物が描かれたカラフルな器。新潟の女性の作家さん。
土色を生かした幾何学模様が斬新な器。熊本の作家さん。
独特の手法で紡ぎ出す水玉模様が素敵な器。高知の作家さん。
それぞれの器の説明を作り手の物語を交えて店主は熱く語る。
陶芸への愛が溢れ出るのが伝わる。
京都の作家が作った小ぶりな珈琲カップに一目惚れする。
落ち着いた藍色で同じく小ぶりな私の手にフィットした。
最後の一個。

優しく鞄を抱える帰り道。
明日の珈琲が楽しみだ。
その他
公開:22/01/09 10:56

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容