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今朝目が覚めると、何か懐かしい匂いがする、気がする。
小学生の頃か、夏休みの日照りが強い、蝉時雨が凄かった日の記憶が頭の中を駆け巡るのだが、肝心のこの匂いの正体がわからない。
自分から発しているものだとはわかる。
なんとなく、脇の下から匂う感じだが、あの懐かしい匂いはしない。
別に臭くないのだが。
(うわー、気になるな。あの懐かしい匂い・・・。)
(まさか、俗にいう加齢臭か?)
帰宅後、妻にも子供にも匂ってもらったが、別に臭わないという。
入浴後もこの匂いは消えなかったが、周囲に迷惑をかける匂いではなさそうだ。
うーん、この夏の思い出の匂い。と思いながら寝入ってしまった。
しかし、夜中に左の脇の下が痛いのに気付き、目を覚ました。
自分の脇の下を見るとそこにはカブトムシやクワガタが密集していた。
あの懐かしい匂いの正体はクヌギの木の樹液だったのだ。
子供は大喜びだったが、明日の夜が怖い。
ファンタジー
公開:22/01/11 06:00

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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