6
4
私の就職祝いで、実家の食卓にはご馳走が並ぶ。
「高校、大学に続き遂に会社まで肇兄さんの後を追いかける事になるとはね」
自嘲混じりに言うと兄は一瞬寂しそうな表情をした。
「父様や母様の希望にも叶う就職先だ。よくがんばったな」と言い終えた時は笑顔だった。
「いずれ我が財閥を率いる力を養うにはもってこいの場所だ。しっかり学んで来い」
と父様は妙な事を言った。
「そんな…肇兄さんを差し置いて僕がその様な立場になれるはずがありません」
すると父様は立ち上がった。母様も黙ってそれに追従した。
「肇、長い間ご苦労だった」「肇さん、本当にご苦労様でした」
二人頭を下げた。
兄も立ち上がり深々とそれに応えた。
突然始まった他人行儀なやり取りを見て呆気にとられる。
兄は静かにこちらを向いた。
「私は…貴方が良い人生を送れるように雇われた人生ペースメーカーでした」
一礼し部屋を出ていった。
「い、良い人生…」
「高校、大学に続き遂に会社まで肇兄さんの後を追いかける事になるとはね」
自嘲混じりに言うと兄は一瞬寂しそうな表情をした。
「父様や母様の希望にも叶う就職先だ。よくがんばったな」と言い終えた時は笑顔だった。
「いずれ我が財閥を率いる力を養うにはもってこいの場所だ。しっかり学んで来い」
と父様は妙な事を言った。
「そんな…肇兄さんを差し置いて僕がその様な立場になれるはずがありません」
すると父様は立ち上がった。母様も黙ってそれに追従した。
「肇、長い間ご苦労だった」「肇さん、本当にご苦労様でした」
二人頭を下げた。
兄も立ち上がり深々とそれに応えた。
突然始まった他人行儀なやり取りを見て呆気にとられる。
兄は静かにこちらを向いた。
「私は…貴方が良い人生を送れるように雇われた人生ペースメーカーでした」
一礼し部屋を出ていった。
「い、良い人生…」
SF
公開:22/01/06 16:39
更新:22/01/07 10:11
更新:22/01/07 10:11
まずは自分が楽しむこと。
ログインするとコメントを投稿できます