「あれ?あんなバイトいたっけ?」

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私はしがないアルバイト。
年明けの三が日、境内で初詣に来た参拝者に暖かい甘酒を配っている。
仕事は大変だが、人々の様子を見るのは実に面白い。おひとり様や、恋人同士、友達同士、家族連れ。色々な形の人々が必死にお賽銭を投げ入れ、熱心に祈っている。
(あの人達にとって、いい年になりますように)
そっと手を合わせて私もそうお祈りしていた時、ふわふわとした小さな生き物が足元に擦り寄ってきた。
「おや、駄目じゃないか。こんな人前に現れて」
『それはこちらの台詞です!何でこの大事な時期にこんなところにいるのですか!』
「えー、だってじっとしてるのつまらないし」
『貴方がいなくては願いを聞き届けることも出来ません!早く戻りますよ神様!!』
使い魔に見つかってしまったので、大人しく社に戻るとしよう。

それにしてもあの人達は、自分達が必死に祈っていた社に神様がいないと知ったら、一体どんな顔をするのだろうか。
ファンタジー
公開:22/01/04 10:40

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