溝川の鯉
2
3
どうしようもなく気持ち悪い。
身体を巡る溝川を黒い鯉が暴れながら泳いでいるのが見える。
光の無い液体の中だというのに妙に艶がある体表は、其奴のタチの悪さそのものに見える。
私には釣竿が無い。仮に竿があっても、針を飲む勇気は無い。
彼奴はいずれ誤って食道へ迷い込むだろう。ビチビチと嫌に震えながら、口までやって来るに違いない。
私はたまらず口を開けることになるはずだ。そうしたら、少しの顎関節症で左右で口が開く時間が違うことや、上唇と下唇を結ぶ汚らしい唾液など無視して彼奴は出て来る。
ぬるっと、泥臭い臭いと共に現した顔が、鼻越しに見える。
彼奴は勢いのままに飛び出して、机か床かベッドの上で跳ね回るはずだ。
そうやって、疲れ果てたら弾ける。
飛び散った黒いものを、私は自分で掃除するはずだ。
身体を巡る溝川を黒い鯉が暴れながら泳いでいるのが見える。
光の無い液体の中だというのに妙に艶がある体表は、其奴のタチの悪さそのものに見える。
私には釣竿が無い。仮に竿があっても、針を飲む勇気は無い。
彼奴はいずれ誤って食道へ迷い込むだろう。ビチビチと嫌に震えながら、口までやって来るに違いない。
私はたまらず口を開けることになるはずだ。そうしたら、少しの顎関節症で左右で口が開く時間が違うことや、上唇と下唇を結ぶ汚らしい唾液など無視して彼奴は出て来る。
ぬるっと、泥臭い臭いと共に現した顔が、鼻越しに見える。
彼奴は勢いのままに飛び出して、机か床かベッドの上で跳ね回るはずだ。
そうやって、疲れ果てたら弾ける。
飛び散った黒いものを、私は自分で掃除するはずだ。
その他
公開:22/01/04 00:02
ログインするとコメントを投稿できます