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初夏の微風が沖合から吹いて来る。 大きな流木に腰掛けた涼しげな美少年が、炎の様な風切り羽根を指で弄んでいた。
「もうっ、うんざりだよ、ねえ、アイオロス!」
若葉の萌える枝で少女は少年の背を叩いた。
「わかっているよ。 ここの風は気持ち良い、この風を街に持っていこう」
少女は上目遣いでチラッと睨むと、フッと消えた。 ポトリと枝が落ちると、少年はそれを胸のポケットに差し込んだ。
「そうれ、舞え!」
少年が風切り羽根を振るたびに、沢山の火の粉の羽毛が舞い上がる。 それは海風を孕んで空高く流れて行った。

「これで、少しは良くなるかな?」 胸の小枝が呟いた。
「これでも頑張ってるんだぜ」
マスクだらけの人々の上を飛びながら、風の少年は溜息を一つ吐いた。
ファンタジー
公開:22/01/06 18:00
更新:22/01/05 18:33
風 若葉 コロナ

ちさとりゅうじ( 神奈川 東京 )

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書き散らかしています。 研究研鑽中につき、ご勘弁下さい。 コメントには必ず返信するつもりでいます。 私のは気にしないでください^_^

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