白昼夢の中で

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余命宣告なんてドラマの中でしか聞いたことがなかった。
ドラマのように泣きじゃくることはしなかった。
というか涙は出なかったというのが正しい。

君にどう伝えよう。

そればかり考えていた。混乱した。悲しむ君を見たくない。

奇跡的に治るかもしれない。

気の持ちようかもしれない。

その日からそうやって言い訳を考えるのが癖になっていた。


昼下がり。

君とうたた寝をする。
僕の大好きな時間。僕と君の大切な時間。

ゆったりと過ぎゆく時に黒く差した死の予感。

僕にはもう時間がないみたいだから。

「かくれんぼをしよう」

君が目覚める前に。
その他
公開:22/01/01 23:52

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