山月記かもしれない
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──とある海辺近くの警察署。二人の男が神妙な面持ちで向かい合っている。
「……俺も落ちぶれたなぁ。まさかお前に身元引受人をお願いする事になるとは」
「いや、誰しも色々あるよ。気にすんな」
「夜勤明けで酒を飲んだ所までは覚えているんだけれど」
「とんだ大虎だったわけだ」
「そうじゃない。そうじゃないんだ。酒は悪くない」
「何でだよ。そこは認めろよ」
「酔った勢いで海辺まで行って、そのまま朝を迎えちまって……。
あの溶けたバターみたいな金色の初日の出を見ていたら、つい」
「えっ。お前、満月じゃなくて朝日を見たら変身するのか!?」
「しょうが無いじゃん。俺、狼男ならぬ虎男なんだから」
──そう言って男はグローブみたいな黄金色の両掌で顔を覆い「ぐるる」と泣いた。
「……俺も落ちぶれたなぁ。まさかお前に身元引受人をお願いする事になるとは」
「いや、誰しも色々あるよ。気にすんな」
「夜勤明けで酒を飲んだ所までは覚えているんだけれど」
「とんだ大虎だったわけだ」
「そうじゃない。そうじゃないんだ。酒は悪くない」
「何でだよ。そこは認めろよ」
「酔った勢いで海辺まで行って、そのまま朝を迎えちまって……。
あの溶けたバターみたいな金色の初日の出を見ていたら、つい」
「えっ。お前、満月じゃなくて朝日を見たら変身するのか!?」
「しょうが無いじゃん。俺、狼男ならぬ虎男なんだから」
──そう言って男はグローブみたいな黄金色の両掌で顔を覆い「ぐるる」と泣いた。
ファンタジー
公開:22/01/01 18:13
更新:22/01/01 18:43
更新:22/01/01 18:43
【椿あやか】(旧PN:AYAKA)
◆Twitter:@ayaka_nyaa5
◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
◆お問合せなど御座いましたらTwitterのDM、メールまでお願い申し上げます。
◆【他サイト】
【note】400字以上の作品や日常報告など
https://note.com/nekometubaki
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