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小さな商店を経営している親戚のおじさんが舞を踊っている。それを見て僕は笑った。
病気で長期入院を余儀なくされた僕は落ち込んでいた。お見舞いに来てくれる友達の健康に嫉妬して、突き放すような言葉を吐く事も多かった…ここ最近、笑った記憶なんてなかった…
そんな僕におじさんは変な舞を披露する。可笑しくて、久しぶりに笑った。
「坊主!笑ったな!それでいい!笑う門には福来る、だ!それにこの舞は『店仕舞』って言ってな、どんな病気も”店”の名のもとに終わらせる踊りだ。病気から”やまいだれ”を仕舞って、丙気(へいき)にするって舞よ!病気なんて水に流してやらぁ!」
おじさんの言葉通り、確かに病気が良くなった気がする。
「だが暫く占いは見るなよ。見たら残った”占”の部分から病魔に占拠される恐れがあるからな」
占いを見たらまた病気になるの?
「いいや、開店の合図だ。暫くしたら皆に坊主の元気な姿を”みせ”てやりな」
公開:21/12/30 20:53

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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