時計と記憶『学校の怪談』

1
3

「つまり、この古いストップウォッチをスタートして、針がぐるって1周するまで見届けちゃうと、その1分間の記憶が飛ぶってこと?」

「先輩からそーきいた」とUはIの横にくっついて座ると「とにかくやってみよ?」とスイッチを押した。

10,20,30――チチチと秒針が、黙って見つめる二人をよそに時を刻む。

IはUのオカルト趣味には呆れていた。

今度のだってきっと、ボーっと時計を眺めて時間をムダにした誰かさんの冗談が、変な広まり方したとかだ。

それにもし超常現象があったとして、こんな放送室の備品が起こすわけ――いや、でも、まさかね。

51,52,53――

「うそ!」
いきなり声を上げたUは、震える手で時計を止めた。

「どしたん急に?」

「分針が5さしてる……いまスタートしたばっかなのに!」

だが、IもUもまだ気づいていない。これが30分計のストップウォッチであることの指すところを。
ホラー
公開:21/12/30 17:33
更新:21/12/30 17:43
時計と記憶 ストップウォッチ

畑のお肉屋

月の音色リスナー
エブリスタでも同じ名前で、ショートショートよりかはちょっと長めのを書いてます → https://estar.jp/users/474388634

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容