除夜の鐘

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今日は大晦日。
新たな気持ちで新年を迎えるため、除夜の鐘を鳴らしにきた。
夜中なのに沢山の人が並んでいる。
鳴らし終わった人の顔を見ると、全員笑顔だ。
「次の方、どうぞ」
ついに俺の番。
鐘の横に、巫女服を着た少女が立っていた。
この寺の子だろうか。
「忘れたいことを思いながら鐘を鳴らして下さい。思いが大きければ大きいほど良いです」
少女から説明を聞き、俺は鐘の前に立つ。
今年を思い返すと、本当に色々なことが起きすぎた。
忘れることは出来ないだろうけど、少しでも気持ちを軽くしたい。
「せーのっ!」
鐘に向かって力一杯つくと、ゴーンと鐘の音が大きく鳴り響いた。

頭の中がすっきりしたような気がする。
…なんで俺は鐘を鳴らしにきたんだっけ?
「あなたの思い、すごく美味しかったわ。ご馳走さま」
少女にお礼を言われると、俺は自然と頬が緩んでいた。
大事なことを忘れた気がするけど、まあいいか。
その他
公開:21/12/31 20:45

たーくん。( 関西 )

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