みかんとこたつ

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 みかんの脳という最新式のAIを搭載したこたつ型自在戦闘機『未達』が空を駆けた。
 熱射光線を地上へ浴びせかけ、敵兵を殲滅する。
 敵軍の対空戦闘機が空を塗り潰しつつある。そう。AIに任せられない、この時のために俺が搭乗しているのだ。エースパイロットたる俺が。
 熱い。熱い。血が滾る。
 戦場の高揚感に任せ、俺は叫んだ。
「甘いわぁぁぁぁっ!」
 そして目が覚めた。
 くしゅんとひとつくしゃみが漏れ、どこか遠くから鐘の音が聞こえる。こたつに包まれた下半身だけが温かく、冷えた鼻先の痛みに鼻梁を歪める。
 机上に放置された剥き掛けのみかんは白い筋に守られている。たしかに脳の皺ように見えなくもない。そりゃなにも達成できるわけないよ。未達だよ。みかんだもの。
 一房摘み、口の中へと放り込んだ。
「うん。甘いわ」
SF
公開:21/12/31 20:03

ぴろしき

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 @yosisige

上記アカウントにて駄文を垂れ流しているインターネットポエム揚げパン。
にほんご、すき。

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