白い友人

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バスは後ろ席で外の風景に目をやる。一面の雪景色。
何もかもを白に染める雪は何の面白みもない。
他に客はおらず、話し相手もいないこの時間が苦痛だった。
はぁ…とため息を吐き、窓ガラスが白く曇る。そこに指で棒人間を描いた。
我ながら上手く描けた…なんて思っていると、棒人間が勝手に動き出したではないか。
驚く私を見て、棒人間は何か伝えようとジェスチャーをしている。白く曇る窓ガラスに何か書き始めた。
『でんそあらかだまひ』
何事かと首を傾げる?
ああ、文字が逆さまになっているんだ。”ひまだからあそんで”って書いたのか。
私は窓ガラスにはぁ~っと息を吹きかけ、白く染まるそこに犬を描く。
棒人間は大喜びで犬に駆け寄るが、犬は白の外へと走り去ってしまった。
『OTL』
悲しみに暮れるその姿がシュールで思わず笑ってしまう。
バスが目的地に到着した。
窓に「またね」と書くと『ねたま』と棒人間も返してくれた。
公開:21/12/28 20:57

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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