ポイントカードにほえろ！

俺の部下のＴ刑事はポイントオタクだ。財布はもちろん上着やズボンのポケットも常にあらゆるポイントカードでパンパンに膨らんでいる。
張り込み中でもポイント還元セールの店を見つけたら入るし、俺が昼メシを買うときには横からポイントカードを出す。注意してもヘラヘラするだけで翌日には同じことを繰り返すのだ。
いい加減うんざりしていたが、ある日を境に考えが変わった。
その日、俺と部下たちは逃亡中の容疑者を追っていた。と、ホシが突然振り返り、隠し持っていた拳銃を俺に向けて発砲してきたのである。
避けきれない…と思ったそのとき、とっさに盾になったのは、なんとＴだった。
部下たちがホシを取り押さえる。俺はＴに駆け寄り、必死に揺さぶった…
結論を言うとＴは無事だった。大量のポイントカードが銃弾を受け止めたのだ。
それ以来、俺はＴに少し寛容になった。命を失うことに比べたら、昼メシ分のポイントくらい安いものだ。