年越アイドル

自称永遠の16歳のアイドルが、呑んだくれてクダを巻く。
「なんでよ、何であんな子が、人気あんのよ！」
ビールの空缶に埋もれ、スルメを噛みちぎった。
ピンポーン
「はあ、誰よ」
「あっ、すみません、私、歳徳神と申します」
「あの、だいぶ歳が溜まっているので、来年は幾つか歳を取ってもらえないかと思いまして」
「イヤです！　歳はいりません、帰って下さい」
私はドアを閉めようとした。
「じゃあ、お札だけでも、後でオデコにペタッとやってもらえば、三年分ほど置いていきますね」
「いらねー、歳なんか。　帰れー」
こうして私は今年も数え歳を拒否した。
だけど、年神様が置いていったお札を見て、ニヤリとする。
私は今人気急上昇中のあの子に忍び寄った。
ペタン。
オデコに三枚のお札を貼った。
「ふははっ、これでお前も十八歳じゃあ」
翌年、大人っぽくなった彼女はグループセンターになるほど人気になったとさ。