ポケットティッシュ

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私は花粉症だ。春ではなく、年の終わりの時期から年の初め頃、いつも花粉症に悩まされるのだ。

あー……また……

「ヘックシュン」

携帯していたポケットティッシュがなくなってしまった。この時期は消費が激しい。歩いているとポケットティッシュを配っている人を見かけた。

ラッキー。貰おっと。

ポケットティッシュを配っている人の横を何気ない顔で歩いた。しかし私の事をスルーして、後ろの人にティッシュを配った。もう一度、私は配っている人の横を通ってみる。しかしまたしてもスルーされる。再び横を通り、今度は手を出してみた。しかしまたしても私はスルーされる。どうして私には、ティッシュをくれないんだ。
「ティッシュ下さい」
「どうぞ」
そう言って差し出した私の手ではなく、横にいる人に渡す。私は完全に無視されている。
なぜ?
そうだ、思い出した。
私は自分が死んでしまっていた事に。だから人から見えないのだ。
公開:21/12/30 10:14

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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