時計と記憶

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私は今まで恋愛を謳歌した事が無い。
いつも愛しい彼を遠くから眺めている。
長針のあなたは足がすごく速いから。
私だって何度かあなたを追いかけようとしたわ。
でも駄目だった。
だって私は短針で足が遅いからあなたに追いつけなかった。
どんなに頑張ってもあなたとは周回遅れ。
ああ、神様、もし、今度生まれ変われるなら私を彼と同じ長針にして下さい。
そうなったら彼と一緒に並走できるもの。
もう、すれ違いの恋愛は嫌なの。限界よ。
日曜日にあなたを待ち伏せして近づけたと思ってもあなたは直ぐに遠くへ行ってしまう。
どうしたらあなたと一緒の時間を過ごせるのかしら。
あなたは24時間耐久レースを毎日続けるランナー
そして私は給水所でドリンクをあなたに渡すだけのただのマネージャ。
この二人の関係はいつ恋愛成就するのかしら。
ああ、神様、お願いです。
私と彼が一緒の時に時を止めて下さい。もう、意地悪は辞めて。
公開:21/12/29 13:18

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