夢戦争

長い間、夢を巡って２つの派閥は争っていた。
『夢にみる』を合言葉に将来の希望を謳う『夢叶う派』と
『夢をみる』を唱え睡眠中の精神状態と説く『夢醒める派』
言わば理想主義と現実主義が解釈を巡って対立した。
夢叶う派は醒める派の若者に向けて
夢を叶える素晴らしさを説く映画を夢に見せる『夢上映』を食らわした。
醒める派は理想ばかりの夢から醒めさせる『夢想アラート』で応戦した。
戦場は過酷を極め、ある者は無謀な夢から覚め、またある者は一度諦めた夢を描き始めた。
形は違えど夢と夢がぶつかり合い、朝か夜か今が夢か現実かも分からぬほど皆が限界を迎えつつあった時だった。
大地に白旗がひるがえったのである。

夢叶う派は降参した。

現実に抗いきれなかった無念に叶う派は崩れ落ち泣いた。
一方、醒める派は抱き合って歓喜した。
そして醒める派の者は口々に叫んだ。

「遂に勝った！俺たちの夢が叶った！」