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我が家は魔女の家系である。生まれてくる娘は等しく魔力を有しており、それを操る事が出来る。
私の母は生粋の魔女だった。箒で空を飛び、指をパチンと鳴らすと火を起こせた。
その娘である私は魔力こそ有していたが箒に跨っても空を飛べず、指を鳴らしても何も起きない。
「練習すれば出来るようになるわ」
だが私は練習を早々に諦めた。箒で空を飛べるからなんだ?今はドローンで人も空を飛べる時代だ。火が起こせないからなんだ。マッチやライターで十分だ。
私はその分勉強に励んだ。地に足のついた真っ当な人生設計を組み立てていく。
そんな私も結婚し、娘が生まれた。娘も私同様、魔力を有してはいるがそれを扱うのは下手だった。
しかし娘は練習を重ね、30歳で箒で空を飛べるようになり今も孫と空を飛んでいる。それはなりたかった私の姿でもあった。
「なら、今からでも練習しようよ」
娘に箒を手渡される。
始めるに遅すぎるはない…か。
ファンタジー
公開:21/12/24 20:29

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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