権蔵の死

僕のおじいちゃんが昨日、死んだ。寿命だった。90歳の大往生だった。葬式は明日に控えていた。

そんなじいちゃんが夢に出てきた。

溶鉱炉に沈みながら、僕に向かって親指を立てながら、溶鉱炉に沈んでいった、じいちゃん。

「わしゃ、また戻ってくるじゃよ」

そんな言葉を言ったじいちゃん。僕は夢から覚めて目を覚ますと、僕は胸がソワソワした。きっと正夢に違いないと思ったからだ。

じいちゃんの遺体が入っている棺桶を開くと、じいちゃんは死に化粧をして、枕元にはドライアイスが煙を出していた。

やはり夢か・・・。僕はそう思わずにはいられなかった。生き返るはずないじゃないか・・・。

僕は、じいちゃんの顔をじっと見ていた。ふと、視線を胸の方へ向けると、じいちゃんの手を見た。

じいちゃんの指は夢の通り、親指を上げていた。

じいちゃんはやっぱり、戻ってきてくれたんだと、僕は思った。