流れ星の秘密

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「星がほしい」

子供故のワガママだった。けれど、当時の私はどうしても欲しかったのだ。空でキラキラ光る星がどんな色をしていて、どんな形なのかを確かめたかった。
そして、困った父は「少し待ってろ」と言って部屋を出て。
数分後、虫取り網に、沢山の小さな星を集めて持ってきた。
「今日は流星群で運が良かった。ほら、流れ星だぞ」
網の中のそれは、色々な色で、ちくちくした形だった。父はその中の1つを手に取り、目を輝かせる私の口に放り込む。
「…!甘い!お星様、甘いよ!」
「甘いだろ?…星が甘いのは、大人だけの秘密なんだ。誰にも内緒だぞ?」
「うん!」



そんな、幼い頃の記憶が、スーパーのお菓子売り場でふと蘇った。
「ママ?」
「…今日、お星様食べさせてあげよっか」
「え!?」
あの頃の自分と同じように、目を輝かせる息子。
彼に気付かれないように私は、金平糖の瓶をこっそりカゴに入れたのだった。
その他
公開:21/12/22 11:15

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