つむじ様
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何の変哲もない住宅街を歩いていたら、とつぜん行列が現れた。俺は最後尾のおっさんに聞いてみた。
「これ?つむじ様の行列ですよ」
聞き慣れない言葉に心惹かれ、列に加わった。
おっさんによると、「つむじ様」は正面から見るとただの人らしい。しかし、背後にまわると神々しいつむじに圧倒される。触れるとご利益があるという噂。
列の周りでは「つむじメイト」と書かれた緑のトレーナーの人々がお守りやら湯呑みやらを販売したり、体調の悪くなった人を誘導したり、せわしなく動いている。
ふいに、ごぉっと強い風が吹いた。拡声器を手につむじメイトたちがたける。
「おかげりです!」
「おかげり」というのはつむじが隠れたという意味だとおっさんが教えてくれた。突風で髪が乱れたのだそうだ。声に蹴散らされるように行列が解かれていった。
そんなわけで俺も家路についた。次につむじ様が現れるのはいつ、どこなのか。それは誰にも分からない。
「これ?つむじ様の行列ですよ」
聞き慣れない言葉に心惹かれ、列に加わった。
おっさんによると、「つむじ様」は正面から見るとただの人らしい。しかし、背後にまわると神々しいつむじに圧倒される。触れるとご利益があるという噂。
列の周りでは「つむじメイト」と書かれた緑のトレーナーの人々がお守りやら湯呑みやらを販売したり、体調の悪くなった人を誘導したり、せわしなく動いている。
ふいに、ごぉっと強い風が吹いた。拡声器を手につむじメイトたちがたける。
「おかげりです!」
「おかげり」というのはつむじが隠れたという意味だとおっさんが教えてくれた。突風で髪が乱れたのだそうだ。声に蹴散らされるように行列が解かれていった。
そんなわけで俺も家路についた。次につむじ様が現れるのはいつ、どこなのか。それは誰にも分からない。
ファンタジー
公開:21/12/24 17:03
落語とか漫才とかが好きなので、クスッと笑えてオチが綺麗なものを書こうと頑張っています。
よろしくお願いします。
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