きこえる

私が親友と出会ったのは出版社の授賞式。
お互いの作品を読み、良きライバルであり、大好きな作家となった。
私はアイデアには自信がある。しかし文章能力が今一で鳴かず飛ばず。
親友は文章能力に長けている。その親友が私のアイデアに感銘を受け、ヒット作を生み出し始めた。
悔しいとは思わない。私のアイデアで成長してくれるのなら嬉しい限りだ。
私もまた、ライバルの表現方法を学び、文章能力を高めている。
そんなライバルの作品が一足先にメディアミックス化した。私も親友として一緒に喜んだ。
出版社でも記録的な売れ行きだと噂されている。
そんなライバルの記録を越えようと私は今日も作品を書く。
記録を書き換えようとは思わない。私は物書きとして、記録を書き越える作品を作っている。
だって大切な親友の記録なんだ。書き変えて失くしてしまいたいとは思っていない。
私達はいつだって追い抜き、追い越される関係なのだから。