きこえる

夏の終わりにふらりと立ち寄った浜辺。今日で店じまいをするという海の家で一休み。
静かな海はカモメの鳴き声が遠くから聞こえる。波の音を近くに感じる。
波の音に混じり私の耳に届くは注文した焼きそばを焼く音。ソースの匂いが潮の香りに負けていない。涎が出てしまう。
その前にと喉を潤すはキンキンに冷えたジョッキビール。白い泡がまるで雲のようだ。
それをグイっと飲み干せば、ぷはぁっ…と思わず息が漏れる。もう一杯注文しよう。
おや？そんな私を見てかやってきた子供がラムネ瓶を手にしたぞ。
器用なものだ。吹きこぼれなしに栓を抜く。
私も挑戦してみたくなった。ラムネを手にポンと叩いてみる。
途端、泡が勢いよく吹き出した。やっぱり私はビールでいい。
ラムネの甘さと酸っぱさは今の私の気持ちそのものだ。
そんな私の体験談を聞いていたら、脳内で海の家の様子が擬音付きで思い浮かんだだろう？
もしそうなら、テーマ達成だ。