騙す罪

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自由になりたかった。

「この世界で君には何ができるの?」

その問いは、喉元に突き立てられたナイフの様で、透明で無機質な冷たい箱の中に1人引きこもっている。
箱の外の世界はそれはそれは綺麗に見えて、箱の中は殺風景。
箱の中の私は君に触れたくても触れられない。君も私に触れられない。

手を繋ぎながら歩いていると、不意に君は私に言ったね
「なんで僕は君に触れられないの?」
その問いに私は決まってこう答える
「触れてるよ」
その質問の意味を知りながら今日も君と私を騙す。
そんなこと聞いてくる君が大嫌いで大好きだった。
同じ景色を見てる気がした。
いつかガラスの箱が開いて、自由になれる気がして…

夢を見ていたのかな。君が消えたのは君を騙した私からの代償

生暖かい水滴が手の甲を伝う

「馬鹿だな」

ふと口から漏れた

恋人の日と化した聖なる夜に、1人、人波に抗いながら、自分で自分を呪ってる。
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公開:21/12/23 18:55

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