彼女のいじめられ人生

　学校でいじめられている女の子がいた。僕もそのいじめに加担した。

　彼女のお気に入りであろうボロボロの鉛筆を、最新のシャーペンに勝手に変えた。さぞ悲しかっただろう。
　大勢の男子に囲まれて楽しそうに話していたところを、僕が男子を全員追い払い、彼女が苦手であろうゲーセンに無理やり連れて行った。
　そうやって何度もいじめた挙句、彼女にあえてプロポーズした。今までいじめてきた奴とこれから一緒になることを、彼女はどう思うだろう。
　結婚後は彼女から家事と育児を奪った。全部僕がやるか、外注したのだ。彼女は笑顔でテレビを見ているが、心の底では悲しんでいるに違いない。
　娘の結婚、彼女は反対したが僕は賛成した。娘が気に入っていたからというのが理由で、彼女はさぞ悔しかっただろう。
　彼女が亡くなり、新しい墓にはさんざんいじめた僕が一緒に入ることになる。

　きっと彼女は辛いだけの人生を送っただろう。