副業解禁の歴史

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鎌倉幕府を倒した後醍醐天皇は全国にちらばるサラリーマンに号令をかけ、彼らの副業を初めて認めたことで知られている。届け出に応じてやりたいことを容認するこの施策は「兼務の申請」と呼ばれた。

「朕が臣は己の未来の先例たるべし」。つまり、先例にとらわれず、自分の人生は自分で切り開くべきというお触れはサラリーマン階層の自立と多様化を促した。やがて京にいる者は公家が独占していた官職を兼務し、権勢を振るうようになる。地方にいる者は土着化し、個人事業主として領国経営に励みながら次第にベンチャー起業家として台頭する。後者は日本史上、戦国大名と呼ばれている。

「え、サラリーマンが大名になれるの?」と教え子の一人が目を輝かせて言った。
「やる気と行動力があればね」と私。「でも、副業がうまくいかずに消えていった人も星の数ほどいるんだ」
「ふうん、よくわからないけど、昔も今もサラリーマンって楽じゃないんだね」
その他
公開:21/12/19 19:27
更新:21/12/19 19:28
歴史 サラリーマン 現代

アカサカ・タカシ( Chicago )

2022年から米国シカゴ在住。

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