きこえる

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インターネットがなかった時代、風鈴を売る屋台は重宝していた。
屋台が売るのは風鈴だけではない。風鈴の中に込められた風の噂も売っていた。多くの人が話のタネになる風の噂を買い求めたものさ。
風鈴に耳を当て、聞こえる噂話に一喜一憂。遠い異国の地の話に胸をときめかせたりもしていた。
当時は正体不明の魑魅魍魎も跋扈していた。故にその話を夏に聞き、涼を取ろうとする者もいたってわけさ。
今ではそんな風の噂が聞こえる風鈴もその数が減って来た。存在すら知らない者が多いだろう。
だがしかし、一部ではあるが、親元や家族と離れる者は未だに実家から風鈴を持ち出すと聞く。
実家に流れる風の噂。それを耳にし、一喜一憂する。そんな使い方するのは今も昔も変わっていないか。
ま、今は携帯端末なんて便利なものがあるから風鈴に頼る必要はない。
それでも風鈴を愛用するのは言葉に出来ない想いを噂話として家族に伝えて欲しいからだろう。
公開:21/12/20 20:42

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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